ちょっとだけ惜しい映画「アンロック陰謀のコード」 [映画鑑賞]
「アンロック陰謀のコード」はちょっとだけ惜しい映画だと思う。
(注・ネタばれあり)
「アンロック陰謀のコード」は2017年のイギリス・アメリカ合衆国のアクション・スリラー映画。
上映時間は98分。
原題は”Unlocked”「完落ち」の意味。
「完落ち」とは、容疑者が完全にすべてを自供すること。全面的自白のこと。
監督は映画「007 ワールド・イズ・ノット・イナフ 」(1999)や映画「エニグマ 」(2001)などサスペンスやアクションに定評のあるマイケル・アプテッド。
「アンロック陰謀のコード」のあらすじを、まずは導入部だけ紹介する。
CIAの凄腕尋問官だったアリス・ラシーンはある容疑者を尋問で完落ち(アンロック)させられず、パリでのテロ事件止められなかったことにショックを受けて引退、ロンドンでケースワーカーとして働いていた。
ある日、アリスはバイオ・テロ計画の容疑者を尋問するためとして、CIAに呼び戻される。
アリスは巧みな尋問術で容疑者を追い込むが、昔の同僚からの連絡でそれが罠であることを知らされる…。
アリス・ラシーン役には ベストセラーサスペンスの映画化、「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(2009)ではヒロインのリスベット・サランデルを演じたノオミ・ラパス。
(同一人物とは思えないくらい。素晴らしい女優)
アリスを助ける謎の元海兵隊員ジャック・オルコット に オーランド・ブルーム。
(ご存じ、壮大なファンタジー映画「ロード・オブ・ザ・リング」(2001)や映画「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」(2003)などの大ヒットシリーズで有名な俳優)
イギリス情報部MI5のエミリー・ノウルズ にはM・ナイト・シャマラン監督の映画「シックス・センス」(1999)でアカデミー助演女優賞にノミネートされたトニ・コレット。
CIAの欧州部門責任者ボブ・ハンター にはジョン・マルコヴィッチ。
(1999年ニューヨーク映画批評家協会賞助演男優賞の映画「マルコビッチの穴」をはじめ、数々の映画に出演する名優)
アリスのかってのCIAの上司エリック・ラッシュ にマイケル・ダグラス。
(1987年に「ウォール街」でアカデミー主演男優賞を受賞、数々の大ヒット映画に主演)
ここまでは期待しかない。
ここからネタばれあり。
しかし、開始32分でマイケル・ダグラスが敵にあっけなく射殺される。
明らかにミスキャスト。
マイケル・ダグラスが三分の一で見せ場もなしに退場。
エージェントがこんな依頼に首を縦に振るわけがない。
マイケル・ダグラスがそんな仕事を快諾するとは思えない。
何かあると思うじゃない?
二転三転してゆくストーリー。
確信が深まる。
ラスト。
やはり、”黒幕はマイケル・ダグラスだった”というまさに完オチ。
(死んだように見せかけただけ)
ジャック役オーランド・ブルームの扱いも気になる。
怪しいコソ泥ジャックに窮地を救ってもらって、すぐに行動を共にするアリス。
(男前で腕が立つなら信じるかな)
アリスがケース・ワーカーで知り合った家族持ちの気のいいタクシー運転手を巻き込み、死なせてしまうところは後味悪いし。
(それに対するアリスの感情の動きは描かれず。ドライ過ぎる)
惜しい。
実に惜しい映画。
アリス役ノオミ・ラパスのアクションもいい。
(罠にかかって部屋を脱出する時のガン・アクションは緊迫感あり)
ジョン・マルコヴィッチが楽しそうに演じているのもいい。
(役者にとって、”アメリカ的なステレオタイプの絶対的上司の演技”は参考になるはず。ふんぞり返って、後ろにいる部下たちに同意を求める時の振り返り方とか)
イギリス情報部のエミリー・ノウルズ役トニ・コレットもクールでカッコいい。
場面展開も早い。
正直、面白い。
実に残念な映画。