観客を惑わすフェイク・スリラー「スケア・キャンペーン」 [映画鑑賞]
今日、ご紹介する映画はネットでも”どこまでがフェイクなのか?”と議論されている「スケア・キャンペーン」。
「スケア・キャンペーン」は2016年にオーストラリアで制作されたスリラー映画。
上映時間は76分。
原題の”のScare Campaign”は意訳すれば、”怖がさせる作戦”というところ。
映画「スケア・キャンペーン」のあらすじ。
(ネタばれあり)
出演者をニセの心霊現象などで怖がらせるドッキリ企画で長年人気を集めてきたテレビ番組「スケア・キャンペーン」も、最近は動画投稿サイトの過激な映像に押され、人気が下降気味。
プロデュサーに�咤激励された監督のマーカスと彼の恋人で番組の進行役でもあるエマをはじめとする番組スタッフは、そんな現状を打ち破るべく、廃墟となった精神病院を使い、何も知らずにやってきた一般人のローハンを大規模な仕かけで驚かそうというドッキリ企画を敢行することにする。だが、庭師としてやってきたローハンが、かってその精神病院に患者として入院していたことがわかる。
不安を覚えたエマは”作戦の中止”を願い出るがマーカスらは心配ないと一蹴する。
番組は予定通り進行していき、新人女優としてこの作品がデビュー作になるアビーがローハンを驚かしてオチになる最後の部屋まで誘導するが、狂気に駆られたローハンは逆上して、アビーをペーパーナイフで刺し、部屋にいた撮影スタッフを絞め殺ししてしまう。
アビーを助けようと部屋に向かうエマ。しかし、これはエマをターゲットにした壮大なドッキリ企画だった。
殺人鬼役ローハンはエマを怖がらせるために番組スタッフを1人また1人と血祭りにあげていくふりをする。
恐怖に脅えながらもローハンに反撃するエマ。やがて、エマは編集スタッフのミスから、これが自分へのドッキリだと気がつくが、病院にはショッキングな殺人シーンでネットで人気急上昇中の”マスク・フリーク”という謎の集団が武器を装備したカメラを片手に現れ、番組スタッフを本当に殺し始める…
二転三転するストーリー。
臨場感あふれるPOV映像。
謎の集団”マスク・フリーク”が現れるまでは緊張感溢れる展開。
だが、そこからダレる。
マスク・フリークが怖くないから。
不気味さもなく只々、陳腐。
緊張の切れた映画は途端に面白くなくなる。
(演出やカメラワークにも問題ありかな)
途中からすじは読めるも飽きさせなかったのに、残念で仕方ない。
いや、フェイク題材にした映画だから、見る側がすべてを疑ってかかるのは当たり前のことだから、工夫がないと難しいだろうけど。
この映画「スケア・キャンペーン」がネットで話題なのは、終わり方にある。
ラスト、
実は”マスク・フリーク”の仲間であるアビーを助け出し、車で警察へ向かうエマ。
車の中にもカメラが仕掛けてあり、しきりにカメラを気にするエマとただひたすらに前を見つめるアビーのショットで映画は終わる。
果たして、どこまでがドッキリなのか?
マスク・フリークは本物の殺人集団なのか?
エマはどこまで知っているのか?
観客を戸惑わせたまま映画は終わる。
エマ役のミーガン・ワーナーは日本では無名だが、なかなかの好演。
ルックスも悪くない。
監督・脚本は2013年シッチェス映画祭ミッドナイトエクストリーム・グランプリを受賞したホラーコメディ「モーガン・ブラザーズ」のコリン&キャメロン・ケアンズ兄弟。
アイディアはいいけど、”フェイク”を題材にした映画ジャンルはハードルが高い。
後半失速するが、最後までどうにか見れる。
脚本と演出の難しさがわかる作品。
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