格闘シーンが凄いと話題のアクション映画「シャドーオブナイト」 [映画鑑賞]
話題のアクション映画『シャドーオブナイト』はハリウッドでもなく香港でも韓国でもなく、中国でもない。
映画「シャドーオブナイト」は2018年公開のインドネシア映画。
上映時間は121分。
アクション映画にしては、長いのでは?と警戒のあなた、杞憂です。
最後まで飽きずに見れる映画。
この映画「シャドーオブナイト」はNetflix (ネットフリックス) の配信。
日本では劇場未公開。
原題は「The Night Comes For Us」
(アクション映画らしくないタイトル。”私たちに夜が来る”。反語で”朝は必ずやってくる”かな)
監督・脚本はティモ・ジャヤント。
ティモ・ジャヤントはインドネシアの映画監督。
映画「シャドーオブナイト」の出演者を紹介します。
主人公のイトウ役に元インドネシア柔道代表のジョー・タスリム。
(2013年の映画「ワイルド・スピードEURO MISSION」や後述のアクション佳作映画「ザ・レイド」にも出演)
イトウの友人のアリアンにイコ・ウワイス。
(イコ・ウワイスは2011年の映画「ザ・レイド」でアクション映画ファンにその名を刻み込んだ俳優。おかげで”シラット”という武術も日本に知れ渡った)
映画「シャドーオブナイト」のあらすじ。
イトウは仲間を守るためにトライアッドに入る。
トライアッドとはアジアを中心に麻薬・人身売買・武器密輸などを行っている秘密組織。
トライアッドには6人の幹部たちが存在しており、それぞれが密輸ルートを守っていて「6つの大海」と呼ばれていた。
その日も、トライアッドは見せしめのために村人全員を虐殺するはずだったが、「6つの大海」の一人でもあるイトウはただ一人生き残った少女を殺すことが出来ず、反対に組織の人間たちに銃口を向けてしまう。
”反逆者”として、トライアッドに追われることになるイトウは、かっての仲間を頼ることにする。しかし、トライアッドはイトウの昔の友人で、トライアッドに一緒に入ったアリアンにイトウの処刑を命じる…。
冒頭の10分は、説明的すぎて、やや冗長だが、
その後のアクションは”映画史に語り継がれる出来”と言っても過言ではない。
精肉店の倉庫でのイトウと精肉業の裏で麻薬の売買などに手を染めている悪党達との格闘シーンはナタや銃や肉の塊を使った豪快なアクションになっている。
(コレだけ密度が高くて、緻密なカットの積み重ねなら当然、クライマックスに持ってきてもいいほど)
こんなにすごいアクション・シーンを開始20分で見せられれては、”この後どうするんだろう?”という筆者の心配をよそに最後まで様々なアクションで魅せる映画に仕上がっている。
特に謎の女殺し屋がカッコイイ。
(イトウより強い!)
この謎の女殺し屋とトライアッドが差し向けるレズビアンの殺し屋コンビとの死闘も見もの。
女殺し屋が言う。
「後悔するわよ?」
トライアッドのレズビアンの殺し屋の片割れがそれに答える。
「ガキ(イトウが助けた子供)って呼んだこと?」
女殺し屋が続ける。
「白い服を着てきたこと」
謎の女殺し屋の宣言通り、トライアッドの殺し屋は白いシャツを鮮血に染め、絶命します。
(名シーン)
映画「シャドーオブナイト」の格闘シーンはジャッキー・チェンやスティーヴン・セガールのアクション映画とは全く異なります。
一言でいうと”グロい”。
頬を内側から切り裂く。
内臓がこぼれる。
足を切り裂く。
口に刃物を押し込む。
格闘シーンがすごい映画「シャドーオブナイト」は、いわゆる”ホラーテイスト満載のアクション”。
気になる点もある。
謎の女殺し屋は、いったい誰の指示で動いているのかとか、イトウは腹を撃たれているのに、たった一人で20人近くの人間をやっつけたり(まさに一人軍隊)する。
この映画「シャドーオブナイト」にはトライアッドのボスや幹部は出てこない。
(劇中では、”幹部が来る”とは度々言っているけど、画面には現れない)
また、誰と誰が「6つの大海」か不明。
組織のレズビアンの殺し屋の3位とか5位のランク付けも謎。
ラストは、かってのアメリカン・ニューシネマのように”車で敵に突っ込んでいくイトウ”のシーンで終わります。
突っ込み始めたら、キリがありませんが、この映画「シャドーオブナイト」の格闘シーンがすごいことは紛れもなく事実。
121分、最後まで集中できるアクション映画。
残酷描写が多いので、苦手な人もいるかも。
一見の価値ありの「シャドーオブナイト」。
配信映画ですが、見て欲しいアクション映画の一本。
ホラー映画『来る』はトンデモナイかも。 [映画鑑賞]
映画『来る』は2018年公開。
PG12指定。
上映時間は134分。
映画『来る』は「第22回日本ホラー大賞」で大賞に輝いた澤村伊智の小説「ぼぎわんが、来る」を映画化したホラー。
監督は「嫌われ松子の一生」(2006)「告白」(2010)「渇き。」(2014)の中島哲也。
主演は岡田准一。
メインキャストに黒木華、小松菜奈、松たか子、妻夫木聡、青木崇高石田えりらの錚々たる面々が揃える。
映画『来る』のあらすじ
恋人の香奈(黒木華)との結婚式を終え、幸せな新婚生活を送る田原秀樹(妻夫木聡)。
秀樹の会社に謎の来訪者が現れ、取り次いだ後輩、高梨(仲野太賀)に「知紗さんの件で」との伝言を残して去る。
知紗とは妊娠した香奈が名づけたばかりの娘の名前だった。
奇妙な来訪者が名前を知っていたことに言い知れぬ不安を感じる秀樹。
その予感は当たり、取り次いだ高梨が謎の死を遂げる。それから2年、秀樹の家族の周りで不可解な出来事が次々と起こる。
秀樹は高校時代の友人で民俗学の研究をしている津田(青木崇高)に助けを求める。
津田は秀樹にヤクザから心霊まで扱うフリールポライターの野崎(岡田准一)を紹介。
秀樹は強い霊感を持つキャバ嬢の比嘉真琴(小松菜奈)に会うことになる。
真琴は訪れた秀樹の家で”得体の知れぬ強大な力”を感じ、戦慄する。
真琴の力では”それ”に対抗するのは無理だと感じた姉の琴子(松たか子)が”それ“退治に乗り出すことになる。
琴子は日本最強の霊媒師で警察幹部をも、一目置く存在だった。
琴子は逢坂セツ子(柴田理恵)ら全国から力のある霊能力者を招集。
琴子と”それ”との戦いが始まる。
しかし、それとともに秀樹たち家族の”秘密”も解き明かされてゆく…。
ワクワクするトンデモナイ感じあるでしょ?
ここからネタばれあり。
では、
この映画のどこがトンデモナイか?
中島哲也独特の色彩美が全編を彩る圧巻のホラー映画。
(目がチカチカする)
悪魔祓いのマンション前のセットも迫力あり。
そして、
驚くことにメインキャストが次々と死んでゆくトンデモナイ展開。
役者陣の演技力もトンデモナイ。
公衆トイレで倒れる黒木華のラスト・カット。
(ホラー映画の”画”の構図の美しさと役者魂!)
岡田准一がやさぐれライターを上手く演じている。
(永遠のゼロ(2013)よりこちらの方が筆者は好み)
中でも、映画『来る』で特筆すべきは小松菜奈だろう。
容姿から言葉遣いから現在公開中の映画「糸」とは真逆のキャラクターを見事に体現している。
登場のファースト・シーンだけでも見るべき。
(ハッとすること間違いなし)
松たか子も最強霊媒師琴子を楽しそうに演じている。
(さすがは中島哲也チルドレン。「告白」も見事だったが、映画『来る』での
病院のベンチでの足を大きく開いた座り方なんて最高。役者は見るべき)
妻夫木聡のダメ男ぶりもいい。
(イクメンパパと家族の幸せさの表と裏は見る者によっては身につまされるだろう。SNSへの強烈な皮肉)
映画では、それが勝ったのか真琴が勝ったのか?
観客に判断が任されるカタチで終わる。
(投げっぱなし)
来る”それ”の正体も完全には明かされない。
(原作のタイトルの「ぼぎわん」はオリジナルのお化け。
作中では三重県に伝わる妖怪で室町時代に宣教師によって「ブギーマン」と名付けられらたのは、日本人の発音で「ぼぎわん」と呼ばれるようになったらしい)
脚本は監督の中島哲也と劇団「ハイバイ」の岩井秀人らが1年以上かけて執筆。
(青木崇高演じる津田の二面性が暴かれるシーンとか秀逸)
134分はあっという間。
劇場で見るべき作品だが、家でもその迫力は伝わる。
色々な意味でトンデモナイ映画。
オススメ。
ちょっとだけ惜しい映画「アンロック陰謀のコード」 [映画鑑賞]
「アンロック陰謀のコード」はちょっとだけ惜しい映画だと思う。
(注・ネタばれあり)
「アンロック陰謀のコード」は2017年のイギリス・アメリカ合衆国のアクション・スリラー映画。
上映時間は98分。
原題は”Unlocked”「完落ち」の意味。
「完落ち」とは、容疑者が完全にすべてを自供すること。全面的自白のこと。
監督は映画「007 ワールド・イズ・ノット・イナフ 」(1999)や映画「エニグマ 」(2001)などサスペンスやアクションに定評のあるマイケル・アプテッド。
「アンロック陰謀のコード」のあらすじを、まずは導入部だけ紹介する。
CIAの凄腕尋問官だったアリス・ラシーンはある容疑者を尋問で完落ち(アンロック)させられず、パリでのテロ事件止められなかったことにショックを受けて引退、ロンドンでケースワーカーとして働いていた。
ある日、アリスはバイオ・テロ計画の容疑者を尋問するためとして、CIAに呼び戻される。
アリスは巧みな尋問術で容疑者を追い込むが、昔の同僚からの連絡でそれが罠であることを知らされる…。
アリス・ラシーン役には ベストセラーサスペンスの映画化、「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(2009)ではヒロインのリスベット・サランデルを演じたノオミ・ラパス。
(同一人物とは思えないくらい。素晴らしい女優)
アリスを助ける謎の元海兵隊員ジャック・オルコット に オーランド・ブルーム。
(ご存じ、壮大なファンタジー映画「ロード・オブ・ザ・リング」(2001)や映画「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」(2003)などの大ヒットシリーズで有名な俳優)
イギリス情報部MI5のエミリー・ノウルズ にはM・ナイト・シャマラン監督の映画「シックス・センス」(1999)でアカデミー助演女優賞にノミネートされたトニ・コレット。
CIAの欧州部門責任者ボブ・ハンター にはジョン・マルコヴィッチ。
(1999年ニューヨーク映画批評家協会賞助演男優賞の映画「マルコビッチの穴」をはじめ、数々の映画に出演する名優)
アリスのかってのCIAの上司エリック・ラッシュ にマイケル・ダグラス。
(1987年に「ウォール街」でアカデミー主演男優賞を受賞、数々の大ヒット映画に主演)
ここまでは期待しかない。
ここからネタばれあり。
しかし、開始32分でマイケル・ダグラスが敵にあっけなく射殺される。
明らかにミスキャスト。
マイケル・ダグラスが三分の一で見せ場もなしに退場。
エージェントがこんな依頼に首を縦に振るわけがない。
マイケル・ダグラスがそんな仕事を快諾するとは思えない。
何かあると思うじゃない?
二転三転してゆくストーリー。
確信が深まる。
ラスト。
やはり、”黒幕はマイケル・ダグラスだった”というまさに完オチ。
(死んだように見せかけただけ)
ジャック役オーランド・ブルームの扱いも気になる。
怪しいコソ泥ジャックに窮地を救ってもらって、すぐに行動を共にするアリス。
(男前で腕が立つなら信じるかな)
アリスがケース・ワーカーで知り合った家族持ちの気のいいタクシー運転手を巻き込み、死なせてしまうところは後味悪いし。
(それに対するアリスの感情の動きは描かれず。ドライ過ぎる)
惜しい。
実に惜しい映画。
アリス役ノオミ・ラパスのアクションもいい。
(罠にかかって部屋を脱出する時のガン・アクションは緊迫感あり)
ジョン・マルコヴィッチが楽しそうに演じているのもいい。
(役者にとって、”アメリカ的なステレオタイプの絶対的上司の演技”は参考になるはず。ふんぞり返って、後ろにいる部下たちに同意を求める時の振り返り方とか)
イギリス情報部のエミリー・ノウルズ役トニ・コレットもクールでカッコいい。
場面展開も早い。
正直、面白い。
実に残念な映画。
お盆に見て欲しい映画の1本。実は拾い物のサスペンス映画「サウンド・オブ・サイレンス」 [映画鑑賞]
「サウンド・オブ・サイレンス」はアンドリュー・クラヴァンの小説『秘密の友人』を原作とする2001年のアメリカ映画。
原題:はDon't Say A Word
日本語に直すと”言葉にしないで”という感じ。
これがまあまあ、良く出来たサスペンス映画なんです。
上映時間は114分。
監督はダンスティン・ホフマンとジーン・ハックマン主演の佳作法廷サスペンス「ニューオリンズトライアル」(2003)のゲイリー・フレダー。
(作品は多くないけど駄作のない監督のひとり)
では、映画「サウンド・オブ・サイレンス」のあらすじを導入部だけご紹介します。
精神科医のネイサンは、ニューヨークで妻のアギーと娘のジェシーと三人暮らし。
感謝祭の前日、ネイサンはかっての同僚から一言も喋らず10年もの間、閉鎖病棟に収容されていた緊張型分裂症の患者エリザベスの担当を任される。
翌日、愛娘のジェシーが誘拐され、犯人グループのリーダーであるコスターから「エリザベスから午後5時までに6桁の数字を聞き出せ」と電話が。
ネイサンが警察に通報しようとすると、コスターから再び連絡があり、警察に知らせれば娘を殺すと脅される。
どうやら、犯人達はネイサンを監視しているようだ。
エリザベスの父親は10年前に仲間と銀行から1000万ドル相当のダイヤを盗んでいたが、その後、すぐに殺されていた。
ネイサンは娘を助けようと、必死にエリザベスからその謎の数字を訊き出そうとする。
同じ頃、水死体で発見された若い女性の捜査をする女刑事キャシディは10年前のダイヤ強盗事件が関与していることに気づく…。
ネイサンには「危険な情事」(1987)「ウォール街」(1987)「ブラック・レイン」(1989)など数々の作品で主演を務めるマイケル・ダグラス。
(この人の芝居は安心して見れる)
犯人グループのリーダー、コスターに2014年にアメリカのサイトが発表した「よく死ぬ映画俳優トップ10」で1位に選ばれた「ロード・オブ・ザ・リング」(2001)のボロニア役で有名なショーン・ビーン。
(悪役ぶりは最高。この映画が成功している一因。ホントにいい俳優だよね)
エリザベス役にはアンジェリーナ・ジョリーを世に送り出すきっかけになったウィノナ・ライダー主演の青春映画の傑作「17歳のカルテ」(1999)のブリタニー・マーフィ。
(演技力には定評あり。見事!)
女刑事キャシディに2006年12月、俳優のブラッドリー・クーパーと結婚するが4ヶ月で離婚して、世間をあっと言わせたジェニファー・エスポジート。
(ニューヨークの市庁舎を主な舞台としたABCテレビのコメディ・ドラマ「スピンシティ」(1997~)でブレイク)
ネイサンの妻アギーに映画「007 ゴールデンアイ」(1995)で暗殺者ゼニア・オナトップを演じて注目されたファムケ・ヤンセン。
(スキーで左足を骨折して、身動きができない役。美人はベッドに横になっているだけで絵になる。もちろん、最後に見せ場あります)
ネイサンの娘役ジェシーにサム・ライミ製作ホラー映画「ブギーマン」(2005)のスカイ・マッコール・バートシアク。
(頭の良い8歳児の役。はまり役)
精神病院の警備員役に若き日のランス・レディック。
(2015年から6シーズン続くアマゾンプライムビデオの良作刑事ドラマ「Bosch/ボッシュ」ではチーフ役を好演)
刑事が単独で行動することに目をつぶれば、この作品はかなり面白く見れます。
ラストもいい。
何よりも、この映画を見るべきなのは、二人の若い女性の死のためでもある。
エリザベス役のブリタニー・マーフィは32歳の若さで心不全でこの世を去り(主演のスリラー2本とロマンティック・コメディ1本が決まっていた矢先)
ネイサンの娘役ジェシーのスカイ・マッコール・バートシアクはてんかん発作で21歳で急死した。
(プロデュサー業などに興味を示していたらしい)
才能ある女性の死は残念過ぎる。だから、多くの人に記憶にとどめて欲しいと思う。
ブリタニー・マーフィとスカイ・マッコール・バートシアクのご冥福を祈って。
ここから報告。
7月23~25日まで開催された第1回メルシアーク神楽坂演劇フェスタは無事終了。
手前味噌ですが、私が作・演出「プリン食べたの誰?」グランプリは逃しましたが、3位入賞しました。
45分ほどの作品です。
無料で見れます。
お時間あればご覧ください。
(一部照明の関係で見にくいところあり)
こちらがURLです。
観客を惑わすフェイク・スリラー「スケア・キャンペーン」 [映画鑑賞]
今日、ご紹介する映画はネットでも”どこまでがフェイクなのか?”と議論されている「スケア・キャンペーン」。
「スケア・キャンペーン」は2016年にオーストラリアで制作されたスリラー映画。
上映時間は76分。
原題の”のScare Campaign”は意訳すれば、”怖がさせる作戦”というところ。
映画「スケア・キャンペーン」のあらすじ。
(ネタばれあり)
出演者をニセの心霊現象などで怖がらせるドッキリ企画で長年人気を集めてきたテレビ番組「スケア・キャンペーン」も、最近は動画投稿サイトの過激な映像に押され、人気が下降気味。
プロデュサーに�咤激励された監督のマーカスと彼の恋人で番組の進行役でもあるエマをはじめとする番組スタッフは、そんな現状を打ち破るべく、廃墟となった精神病院を使い、何も知らずにやってきた一般人のローハンを大規模な仕かけで驚かそうというドッキリ企画を敢行することにする。だが、庭師としてやってきたローハンが、かってその精神病院に患者として入院していたことがわかる。
不安を覚えたエマは”作戦の中止”を願い出るがマーカスらは心配ないと一蹴する。
番組は予定通り進行していき、新人女優としてこの作品がデビュー作になるアビーがローハンを驚かしてオチになる最後の部屋まで誘導するが、狂気に駆られたローハンは逆上して、アビーをペーパーナイフで刺し、部屋にいた撮影スタッフを絞め殺ししてしまう。
アビーを助けようと部屋に向かうエマ。しかし、これはエマをターゲットにした壮大なドッキリ企画だった。
殺人鬼役ローハンはエマを怖がらせるために番組スタッフを1人また1人と血祭りにあげていくふりをする。
恐怖に脅えながらもローハンに反撃するエマ。やがて、エマは編集スタッフのミスから、これが自分へのドッキリだと気がつくが、病院にはショッキングな殺人シーンでネットで人気急上昇中の”マスク・フリーク”という謎の集団が武器を装備したカメラを片手に現れ、番組スタッフを本当に殺し始める…
二転三転するストーリー。
臨場感あふれるPOV映像。
謎の集団”マスク・フリーク”が現れるまでは緊張感溢れる展開。
だが、そこからダレる。
マスク・フリークが怖くないから。
不気味さもなく只々、陳腐。
緊張の切れた映画は途端に面白くなくなる。
(演出やカメラワークにも問題ありかな)
途中からすじは読めるも飽きさせなかったのに、残念で仕方ない。
いや、フェイク題材にした映画だから、見る側がすべてを疑ってかかるのは当たり前のことだから、工夫がないと難しいだろうけど。
この映画「スケア・キャンペーン」がネットで話題なのは、終わり方にある。
ラスト、
実は”マスク・フリーク”の仲間であるアビーを助け出し、車で警察へ向かうエマ。
車の中にもカメラが仕掛けてあり、しきりにカメラを気にするエマとただひたすらに前を見つめるアビーのショットで映画は終わる。
果たして、どこまでがドッキリなのか?
マスク・フリークは本物の殺人集団なのか?
エマはどこまで知っているのか?
観客を戸惑わせたまま映画は終わる。
エマ役のミーガン・ワーナーは日本では無名だが、なかなかの好演。
ルックスも悪くない。
監督・脚本は2013年シッチェス映画祭ミッドナイトエクストリーム・グランプリを受賞したホラーコメディ「モーガン・ブラザーズ」のコリン&キャメロン・ケアンズ兄弟。
アイディアはいいけど、”フェイク”を題材にした映画ジャンルはハードルが高い。
後半失速するが、最後までどうにか見れる。
脚本と演出の難しさがわかる作品。