配信映画「クリープ」とは? [映画鑑賞]
今日、ご紹介するのは映画「クリープ」です。
映画「クリープ」はファウンド・フッテージ・ホラーです。
ファウンド・フッテージとは、
(found footage)は、映画やテレビ番組のジャンルのひとつでモキュメンタリーの一種です。
モキュメンタリーとは、映画やテレビのジャンルのひとつ。
架空の人物や団体、虚構の事件や出来事に基づいて作られるドキュメンタリー風表現手法のことです。
モキュメンタリーは擬似を意味する「モック」と、「ドキュメンタリー」の混成語です。
または、「モックメンタリー」「モック・ドキュメンタリー」ともいいます。
「フェイクドキュメンタリー」と呼ばれる場合もあります。
(筆者には、”フェイクドキュメンタリー”が一番わかりやすい)
モキュンメタリー映画の例をわかりやすく、挙げます。
(最も有名なのは、1999年公開のカルト映画「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」 )
ファウンド・フッテージは、
”撮影者が行方不明である、埋もれていた過去の映像などが 撮影者と無関係な者に渡り、そのまま公開されることになった”という設定がされたフイクション作品のこと。
映画「クリープ」は2014年のアメリカ映画。
上映時間は77分。
日本では劇場未公開。
残念ながら、今のところはNetflixによる配信のみでしか見ることができまません。
映画「クリープ」の原題は”Creep"。
”這う、ゆっくりと近づく、忍び寄る 絡みつく”などの意味。
(なかなか良いタイトルですな)
映画「クリープ」の監督はパトリック・ブライス。
(今年2019年のサンダンス映画祭ミッドナイト部門でプレミア上映したデミ・ムーアとエド・ヘルムズ主演で歌手のブリトニー・スピアーズも出演している「Corporate Animals (原題)」の監督です)
出演は
ジョセフ役にマーク・デュプラス 。
アーロン役にパトリック・ブライス。
(原案・脚本もこの二人)
マーク・デュプラスは、監督業もこなす俳優。
2012年映画キャスリン・ビグロー監督「ゼロ・ダーク・サーティ」でCIA分析官としても出演しています。
では、映画「クリープ」のあらすじを途中までご紹介します。
映画「クリープ」あらすじ
映像作家のアーロンは「ビデオ撮影をしてくれる人を募集中。1日につき1000ドルを払います。」という妖しいネット広告を目にする。
金を必要としていたアーロンは応募する。
広告主はジョセフという名前を名乗る。
山の麓のセカンド・ハウスに呼び出されるアーロン。
ジョセフは自分は脳腫瘍に犯され、余命半年足らずだとアーロンに告白する。
妻のアンジェラは妊娠しているが、お腹の子供は自分の姿を見ることが出来ない。
子供に見せるために、今のうちに自分の元気な姿をビデオに収めておきたいと理由から映像作家を募集したのだとアーロンに話す。
アーロンは納得して、撮影を始める。だが、徐々にジョセフの奇妙な振る舞いや言動が目立ち始めるようになる。
アーロンはそれを癌によるものだと思い込むが、不審は段々と募ってゆく。
一日の撮影が終わり、ホッとして、帰ろうとするアーロンをジョセフが引き止める。
一杯だけお酒を付き合って欲しいというのだ。
アーロンは仕方なく付き合うことにするが…。
映画「クリープ」の考察
(ここからは、ややネタばれあり)
77分の間、出演者はほぼ二人。
(マーク・デュプラス とパトリック・ブライスの演技力も悪くありません。いや、これがこの映画の肝)
映画「クリープ」は人里は慣れた場所で展開するお話です。
(寂寥感のあるロケーションもこの映画に一役買っている)
カメラはアーロンの持つハンディ・カメラが”目線”になります。
効果音や音楽はありません。
(映画はドキュメントのように静かに進行していく)
血がドバッと出たり、美女の甲高い悲鳴もしません。
殺人鬼が物凄いスピードで追いかけてきたりもしません。
凶器になるような刃物すらも出てきません。
(冒頭の斧くらい。象徴的なシーンでラストに繋がる)
自分達以外誰もいない空間で、初めて会う人間がたった二人きりでいる。
そんな究極の状況。
”あなたならどうする?私、オレなら、どうする?
人間考察。
この映画「クリープ」は、自然とそんなことを考えながら見てしまいます。
色々な考察が出来るスリリングでエキセントリックで緊張感のあるホラー。
批評家支持率は92%
事実、この映画のあと2作目が作られます。
興味深い映画であることは間違いない。
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ミスディレクション映画の難しさを痛感する「目撃者 彼女が見たもの」
映画「目撃者 彼女が見たもの」は惜しいミスディレクションムービーだと思う。
「目撃者 彼女が見たもの」は2017年制作のカナダ映画。
(テレビ用映画らしい)
原題は”Eyewitness”(目撃者)。
上映時間は87分。
この映画「目撃者 彼女が見たもの」はいわゆるミスディレクションムービーだ。
(ミスディレクションとは、注意を意図していない別の所に向かせる現象やテクニックのこと。 主にマジックで用いられ、観客の注意を別の場所にそらす手法として知られる。右手に注目している間に左手で何か種になる動作を行う、などとして使用される。 ウィキペディア)
この映画「目撃者 彼女が見たもの」をネタバレありでご紹介する。
映画「目撃者 彼女が見たもの」の監督はアンドリュー・C・エリン。
ホラー映画「ヘイヴンハースト」(2016)、「インモラル・ヴァンパイア 淫夢の中だけ」(2013)などの作品があるが日本ではほとんど無名の監督。
主演は比較的評価の高いホラー映画「クライモリ」(2003)のリンディ・ブース。
ホラー映画「クライモリ」とは?
映画「クライモリ」(原題はWrong Turn)は、2003年のアメリカ・ドイツ合作のホラー映画。
森に迷い込んだ若者たちが忌まわしい姿の者たちに襲われるパニック・ホラー。
スティーヴン・キングが「Book」誌で年間ベストワン映画に挙げて絶賛し、話題となった作品。
「目撃者 彼女が見たもの」に話を戻そう。
「目撃者 彼女が見たもの」のあらすじ
富豪の娘ダイアナは、5年前に自宅ガレージで起きた実業家の父親と婚約者ブライアンを殺された事件の悲しみから今だに立ち直れずにいた。
父の事業を引き継ぐべきところを休職したままにいる。
弟クリスとその妻、そして弁護士マーティンは今後の人生のためにも、ダイアナに殺人事件の舞台となった豪邸売却を促すが、ダイアナは思い出の詰まった家を離れる気にもならず、一人孤独に暮らしていた。そんな中、殺害犯で服役中だったはずの庭師のルイスが脱獄する。
警察や弟のクリスとその妻、ダイアナに好意を寄せる亡き父の顧問弁護士マーティンらはルイスがダイアナに復讐するために、この豪邸に来るのではないかと心配する。それは、無実を主張するルイスの有罪判決を決定づけたのはダイアナの目撃証言だったからだった。
周囲の予想の通り、脱獄半ルイスはダイアナの住む豪邸に忍び込み、ダイアナを拘束する。しかし、ルイスの狙いは”真犯人探し”だった…
ほぼ屋敷の敷地内で展開するこの映画。
出演する役者の数も多くない。
映画は予算や人員だけじゃないということを証明したかったのかもしれない。
”アイディアだけで引っ張ってゆく”という考えは面白いのに残念な仕上がりになってしまった。
犯人捜しのミスディレクション
脱獄してきたルイスは顧問弁護士のマーティンを真犯人と疑うが、その根拠が希薄で共感できない。
(案の定、マーティンは犯人ではない)
観客の多くは前半で”犯人”を見抜くに違いない。この辺りは伏線の見事さというより、脚本にひねりが足りないというべきだろう。
(ここは、これから見る方のためにあえて伏せる)
次第に”犯人はルイスではないのでは?と考えるようになるダイアナの感情の動きも安易すぎるし、演技的にも今ひとつ。
リンディ・ブースは富豪の娘ダイアナ役で線の細い傷ついた女性は見た目はピッタリだけど…
(もう少し、芝居の上手な女優が演じると違ったかも)
脱獄囚ルイスも凄みや必死さが足りない。
(クレイグ・オレジニクという名前の役者)
クライマックスの犯人との対峙のシーンも迫力に欠ける。
(ここは見せ場!うーん演出とカメラ割りにも問題あり)
少しづつ、ボタンの掛け違いがあるような感じ映画「目撃者 彼女が見たもの」。
実に惜しい。
「映画『ダウンレンジ』は映画鑑賞の本来の目的を考えさせる映画 [映画鑑賞]
今日、ご紹介するのは映画「ダウンレンジ」です。
映画「ダウンレンジ」は人気のない道路で立ち往生した6人の大学生の男女が、突如、出現したスナイパーに襲われるアクション・スリラー。
”映画はワクワク、ドキドキでなければならない”と考える筆者にとっては、色々考えさせられる映画でした。
映画「ダウンレンジ」は北村龍平監督のアメリカ映画。
タイトルの「DOWN RANGE」は銃弾の射程距離内、戦闘区域の意味。
映画「ダウンレンジ」は2017年9月10日にトロント国際映画祭で上映されました。
(シッチェス・カタロニア国際ファンタステック映画祭、釜山国際映画祭などでも上映)
日本では9月15日より、新宿武蔵野館で2週間限定ロードショー。
(その後、大阪第七藝術劇場で公開)
上映時間は90分。
R15+指定。
(グロい描写も多い)
監督の北村龍平は2001年インディーズ映画「VERSUS -ヴァーサス-」でローマ国際ファンタスティック映画祭監督賞、大沢たかおと加藤雅也主演、堤幸彦と競作した2003年中編剣術アクション映画「荒神」でブリュッセル国際ファンタスティック映画祭監督賞、2003年小山ゆうの漫画を映画化した映画「あずみ」でフィラデルフィア国際映画祭観客賞を受賞しているアクションには定評のある監督。
一方、こちらも原作ありき、2003年映画「スカイハイ 劇場版」、2004年東宝映画「ゴジラ FINAL WARS」、まさかの実写(実は1974年「ルパン三世念力珍作戦」に続く2作目)2014年「ルパン三世」など評価が分かれる作品も多い。
映画「ダウンレンジ」の主演を務める6人の大学生は全員無名。
1万人を超えるオーディションから選ばれました。
(この中からスターが現れる可能性も否定できないですぞ。わりと早く画面からいなくなるジェフ役ジェイソン・トピアス。そのほかでは、ケレン役ステファニー・ピアソンは注目)
映画「ダウンレンジ」のあらすじ
昼間、太陽が照りつける中、人気のない幹線道路を走るSUV車。
相乗りをしている大学生の6人の男女。
いきなり、左の後ろのタイヤがバーストする。
大学生達がタイヤを交換し始めると、突如ライフルの”音なき銃弾”が彼らを襲う。
恐怖に怯え、SUVを楯に隠れる大学生達。
車はほとんど通らず、携帯電話も繋がらない。
”姿なきスナイパー”は大学生達をまた一人、また一人と血祭りに上げてゆく…。
無人の荒野をバックに展開する、いわゆるワンシチュエーション・スリラー映画「ダウンレンジ」。
ワクワクするポイントがある映画は面白い。
アメリカ資本ながら、インディペンデント映画。
北村龍平の”原点回帰映画”と言ってもいい。
(ワクワクポイント)
“映画はワクワク、ドキドキでなければならない”
”終わりなき絶望。”というキャッチ・コピーと想像を掻き立てるポスター。
(ワクワクポイント)
6人の大学生男女VS姿なきスナイパーという事前情報。
(ワクワクポイント)
視聴前から3ワクワクポイント。
悪くありません。
ここからネタバレあり。
開始早々、SUV車がパンク。
(ワクワク)
タイヤ交換のシーンが長い。
(出演者の相関関係を見せるつもりだろうが、あまり説明はない。ただ、ダラダラ。演出もイマイチ。実にもったいない)
6人の若い無名のアクターが主役。
(誰が生き残るかわからない。ドキドキポイントです。しかし、感情移入しずらい。このへんは諸刃の剣)
突然の膠着状態。
(少し、ダレる。もう少し、頑張りましょう)
後半、家族3人を乗せた車が通りかかるあたりから俄然、映画は息を吹き返す。
(ワクワク、ドキドキ)
そして、主役だと思っていた女の子の突然の死。
(やるじゃん、北村龍平。予想を裏切られた。北村龍平は今回も脚本に参加)
駆けつけた警官たちとスナイパーとの夜の死闘。
(ここは大好き。ワクワク、ドキドキMAX)
いやー、驚愕のラスト5分はなかなかの出来。
(ここはタネ明かしなし。映画「ダウンレンジ」を御覧下さい)
ネットでは評価の分かれるこの映画「ダウンレンジ」。
筆者は後5分短ければ、傑作だと思います。
”姿なきスナイパー”の目的は最後まで明かされません。
(顔も年齢もハッキリとしない)
色々な意味で、この映画「ダウンレンジ」はスティーヴン・スピルバーグ監督の「激突」(1971年)を彷彿させると言われていますが、残酷描写も含めると筆者にはロバート・ハーモン監督の「ヒッチャー」(1986年)の方が近いと思う。
何はともあれ、この映画「ダウンレンジ」はスリラー映画好きなら、一見の価値あり。
(ワクワクポイント、ドキドキポイントある映画はいい映画だから)
映画「search/サーチ」はなかなかの拾い物。 [映画鑑賞]
アイディアが秀逸な映画「search/サーチ」(原題:Searching)は、2018年に公開されたアメリカ合衆国のスリラー映画。
今回はネタバレなしでご紹介したい。
映画「search/サーチ」の上映時間は102分。
監督はアニーシュ・チャガンティ。
アニーシュ・チャガンディはインド・ハイデラバード出身。
アニーシュ・チャガンディの経歴もユニーク。
南カリフォルニア大学で映画製作を学び、23歳の時、グーグルグラスのみを使用して撮影した2分半の短編映画「Google Glass: Seeds(原題)」(14)をYouTubeに投稿すると、24時間のうちに100万回以上の再生回数を獲得。その直後、ニューヨークのグーグル・クリエイティブ・ラボに招かれ、2年間グーグルのCM制作などに携わった。
映画「search/サーチ」はアニーシュ・チャガンティの劇場映画監督デビュー作。
同作はサンダンス映画祭の観客賞を受賞。
サンダンス映画祭とは?
サンダンス映画祭は、アメリカの映画祭。ユタ州のスキーリゾート地で有名なパークシティで、1978年より毎年1月中旬から11日間に渡って開催されている。インディペンデント映画を対象とし、数万人規模の客を招き約200本もの長・短編映画が上映される。日本のNHKがスポンサーに名を連ねている。
(ウィキペディアより)
主演のデイビッドにはジョン・チョー。
(名作SFのリメイク映画「スター・トレック」(2009~)でジョージ・タケイに代わりヒカル・スールーを演じている)
それ以外、出演者に日本で知られている俳優はいないようだ。
デイビッドに手を差し伸べる女性捜査官ヴィック役デブラ・メッシングという女優は筆者は知らなかった。
(単に勉強不足だが)
「search/サーチ」はストーリーの全てがパソコンの画面上で展開されるという異色の映画だ。
でゃ、映画「search/サーチ」あらすじを導入部だけ紹介する。
愛妻を癌で亡くしたディビットは高校生になった一人娘のマーゴットとの関係も日々、微妙なものとなっている。
ある日、マーゴットが勉強会といって外泊をする。
夜中、マーゴットから連絡があったが、デイビッドは就寝中で電話に出ることが出来ない。
翌朝、デイビッドが起きるとマーゴットは家に居る気配はない。
一抹の不安がデイビッドの胸によぎる。
心配になったデイビッドは通っているピアノ教室に連絡を入れ、マーゴットに連絡を取ろうとするが、半年前に辞めているとわかる。
手がかりはマーゴットが家に置いていったノートパソコンだけ。
デビットはマーゴットの居場所を必死に捜すが、一向に連絡は取れない。そして、デイビッドは娘について何も知らないことに気づき、愕然とする。
デイビッドは意を決して警察へ捜索願いを出すが…
この映画「search/サーチ」は情報を入れないで鑑賞をした方がより楽しめます。
いまや、SNSは最も身近なコミュニケーション・ツールと言ってもいい。
Facebook、インスタグラム、YouTube、TikTok,Line
それらを効果的に使って娘を捜す若き父親がいかにも今ドキ。
昨今のニュースで取り上げられている通り、
SNSが諸刃の剣であることは皆がわかっている。
この映画「search/サーチ」は風刺も効いて好感が持てる。
監督のアニーシュ・チャガンディは1991年生まれ。
これからも楽しみな逸材。
(アニーシュ・チャガンディは映画「search/サーチ」の脚本にも携わっている)
この映画、伏線の回収も見事。
驚きのラストも素晴らしい。
映画はアイディア。
編集とカメラワーク、良い役者が揃えば良作は保証されたようなもの。
どうやら、続編もあるらしい映画「search/サーチ」は見て損はない映画。
オススメ。
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結末が読めないサスペンス映画「アイデンティティ」 [映画鑑賞]
先が読めない映画として話題になった洋画「アイデンティティー」(IDENTITY)
は2003年のアメリカ映画。
映画「アイデンティティー」は”ワンロケーション・ミステリー”
(ワンロケーション・ミステリとは、”限られた空間で展開する謎解きや犯人探し”を意味します)
映画「アイデンティティー」の日本公開は10月25日。
上映時間は90分。
監督はジェームズ・マンゴールド。
ジェームズ・マンゴールドは1963年12月16日、ニューヨーク州ニューヨーク市生まれ。
1995年に『君に逢いたくて』で映画監督デビュー。
1999年映画「17歳のカルテ」でアンジェリーナ・ジョリーを世界に押し出した監督。
(映画「17歳のカルテ」は青春映画の佳作。アンジェリーナ・ジョリーの演技がとにかく素晴らしい。未見の方はご覧下さい。主演・制作総指揮はウィノナ・ライダー)
2001年にはロマンテック・コメディ映画「ニューヨークの恋人」で再び注目され、
2005年にはリース・ウィザースプーンにアカデミー主演女優賞をもたらす映画「ウォーク・ザライン/君に続く道」を監督。
2010年トム・クルーズとキャメロン・ディアスの共演が話題になった映画「ナイト&デイ」や2013年公開の映画「ウルヴァリン: SAMURAI」など着実にキャリアを積み重ねている監督
(2017年映画「ウルヴァリン: SAMURAI」の続編「LOGAN/ローガン」は前作を見ていない人にもおすすめヒーローアクション。”ヒーローが未来永劫でないことを教えてくれる”佳作です。筆者は「17歳のカルテ」とともにジェームズ・マンゴールド作品の中では高く評価しています)
主な出演者です。
女優の運転手エド役にジョン・キューザック。
(学校カーストの頂点にいる女の子に恋する普通の高校生を演じた1989年の切ない青春映画「セイ・エニシング」が懐かしい)
囚人を護送中の警官ロード役にレイ・リオッタ。
(2001年映画「ハンニバル」で自分の脳みそを食べる司法省役人役が頭にこびりついて離れない)
モーテルの主人ラリーにジョン・ホークス。
(やっぱり、ジェニファー・ローレンスがボコボコにされる2011年の彼女の出世作「ウィンターズ・ボーン」の不気味なティアドロップ役でしょ)
女優カロラインにレベッカ・デモーネイ。
(1995年の制作総指揮も兼ねたアントニオ・バンデラスとの共演スリラー映画「ストレンジャー」かな)
新婚夫婦の妻ジニーにクレア・デュヴァル。
(映画「17歳のカルテ」にも出てます)
娼婦役でアマンダ・ピート。
2000年の「隣のヒットマン」のセクシーな歯科助手)
では、先が読めない映画「アイデンティティー」のあらすじを途中までご紹介します。
(今回はネタバレなし)
精神科ドクター、マリックは、診察時に録音した患者のテープを聴く。
「君は誰かね。君の名は?」
「好きに呼べばいい」
「君はなぜここに来たんだ?」
「俺の頭痛を治してもらうためだ。アスピリンは役に立たない」「お母さんの話をしてくれ」「おれの母親か? 売春婦だった」
「アパートの住人6人を,98年5月10日に殺したのは君か?」
「俺の誕生日だ」
患者は連続殺人犯。責任能力があると判断され、死刑が確定している。
外は記録的な雨が降り続いている。
モーテルの管理人ラリーのところに、怪我人が運びこまれる。
被害者の名はアリス。
運んできたのは夫のジョージ。
息子のティミーも一緒だ。
彼女をはねたのはエド。かつての人気女優、カロラインの運転手。
モーテルの電話は不通。
エドは病院を目指して車を走らせる。途中、車が故障した娼婦パリスに助けを求められる。彼女が言うには洪水でどこへも行けないと言う。
しばらく走ると、道は冠水しており、行き止まり。
引き返そうとしたとき、新婚夫婦ルーとジニーの車がやって来た。4人はそろってモーテルへと向かった…。
真夜中に鳴り響くベル。
判事は不機嫌そうに、電話をとる。それは、彼にとって意外な知らせだった。
死刑判決を下した事件の再審理が、これから始まるというのだ。
明日、死刑が執行されることになっている囚人は、現在移送中。
弁護側が同席を要求しているらしい。
再審理のきっかけとなったのは、囚人が書いた日記。
この日記は、意図的に隠蔽されていたと弁護側は主張している。
その内容とは一体どんなものなのか?
弁護側には、彼の死刑を中止させるだけの勝算があるのか?
モーテルの最後の客はロード。
囚人を移送中の刑事だ。
慌しく写真を片付け出すルー。
大金を隠すパリス。
そして、ロードのスーツの下のシャツには赤黒いシミが…。
怪しげな動きがある中、洗濯機の中から女優カロラインの頭部が発見された。しかし、これは、始まりに過ぎなかった。ルーと囚人は何者かに殺され、ジョージは事故で死亡。エドがはねたアリスも息を引き取った。死体の傍らには必ずモーテルのカギが、10、9、8…、と死の順番をカウントダウンするかのように置かれていた。この異常事態から逃げるジミーとティミー。しかし、車へと駆け寄った瞬間、爆発し、炎上する。消火後、そこに2人の死体はなかった。それだけではない。いつのまにかすべての死体が消えていた。
残されたのは、エド、パリス、ロード、ラリーの4人。
犯人は生存者の中にいるのか?
(以上のあらすじは映画「アイデンティティー」パンフレットの中から抜粋)
映画「アイデンティティー」はどうしておすすめサスペンスなのか?
豪雨の中、行き場のない10人がモーテルに偶然集う。
降り続く雨の中、薄暗いモーテルで、また一人、また一人と命を奪われていく…。
どうして、なぜ?
脚本を読んだジョン・キューザックも”展開が読めなかった”という映画「アイデンティティー」。
先が読めない驚愕のラストは、必ずや見る人を沈黙させます。
(ひっくり返る人もいるかも)
閉ざされた空間での物語なのに90分飽きさせない演出と脚本はお見事。
それもそのはず、脚本家のマイケル・クーニーは劇作家としても活躍。
(ワン・ロケーションはお手の物)
美術監督のマーク・フリードパークはモーテルとその周辺の大きなセットが組み立て、40日間雨を降らせ続けたそう。
映画「アイデンティティー」の画面から滲み出る独特の雰囲気はそのなせる業だろう。
タイトル「アイデンティティー」の意味も最後にわかるはず。
あまりの結末に怒る人もいる映画「アイデンティティー」
是非、御覧あれ。
変化球ミステリー映画「探偵クレア 白蘭の女」 [映画鑑賞]
「探偵クレア 白蘭の女」は2017年のアメリカ映画。
上映時間は82分。
この「探偵クレア 白蘭の女」は”一風変わった探偵物”に仕上がっていて、”ブライアン・デ・パルマ監督好き”なら強く勧める作品。
監督・脚本はスティーヴ・アンダーソン。
世界一有名な放送禁止用語“FUCK”を徹底研究し、アメリカにおける“言論の自由”に迫る2007年のドキュメンタリー映画「FUCK」の監督。
主演のクレアには東野圭吾の小説「秘密」のフランス版リメイク映画の「秘密 THE SECRET」(2007)、シルヴェスター・スタローン主演SF映画「ジャッジ・ドレッド」(1995)のリメイク2012年版でヒロインを演じたオリヴィア・サールビー。
(2012年、雑誌『Complex』で「ニューヨークで最も魅力的な50名の独身女性」第9位に選ばれている)
クレアに仕事の依頼をするビビアンに1983年のヒット映画「フラッシュダンス」のジェニファー・ビールス。
クレアを見守る保安官役にジョン・キャロル・リンチ。
ジョン・キャロル・リンチはファーゴ(1996)、グラントリノ(2008)、シャッターアイランド(2010)などたくさんの映画に出演している銀幕の名脇役。
映画「探偵クレア 白蘭の女」のあらすじ
フリーの女探偵クレアはアメリカのカルフォルニア州サンルイスオビスで発生した“白蘭事件”の調査を郡の担当官ビビアンに依頼される。
被害者は女性で頭部や両腕の切断という無残な姿で発見された。
身元不明のその女性は事件の3カ月前、高級住宅の一軒家を借りたまま行方不明になった美しい女性“白蘭”らしい。
(屋敷の外から見えるところに見事な白蘭を飾り、たくさんの男性が入れ代わり立ち代わり家に出入りしていた)
しかし、身分証明書や写真は偽物で、彼女は何者なのか、誰に殺されたのか、何一つ分からぬまま迷宮入りとなっていた事件だった。
クレアは地元警察の保安官が「調べつくしたがないにもない」という被害女性の豪邸から調査を開始する。
高級な下着に様々なウィック、香水、大人の玩具などを目にしたクレアは、やがて屋敷から警察が見つけられなかった大金と謎の鍵を見つけ出すが…
ここから一部ネタばれあり。
クレアは屋敷で被害者の下着を身につけて、口紅を塗りウィッグをつける。
クレアは被害者の意識をなぞる、追跡する、遡る、
いわゆる”トレース”で調査をしてゆく。
普段は眼鏡をかけ、野暮ったいクレアが化粧をして変わってゆくシーンは息を飲む。
(クレアが段々、美しく、コケティッシュに変化してゆく様はまさに蛹から孵った蝶のよう。オリヴィア・サールビーの女優としての高いポテンシャルを感じる)
コンサートでの人物描写やホテルのバーでのシーンはデビッド・リンチを意識しているよう。
この映画、ミステリアスさは保証する。
クレアを信頼するビビアン役ジェニファー・ビールスもいい。
2008年から続くリーアム・ニーソン主演映画「96時間」の前日譚、若き日のブライアン・ミルズを描くスパイアクションドラマ「96時間ザ・シリーズ」でも秘密機関ODNI(アメリカ合衆国国家情報長官官房)のブライアンの上司役を熱演していた。
(残念ながら、2シーズンで打ち切り。アクションは良いけど、お話は単調)
アクションも出来て、演技も悪くない。美貌の衰えもないので、ジェニファー・ビールスはこれからも注目。
そして、ジョン・キャロル・リンチが登場すると画面が締まる。
(いい役者は画の収まりが良く、存在感がある。持って生まれたものか経験なのか?)
原作はサラ・グランの私立探偵クレア・デウィット・シリーズ。
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映画の終わり方がややミステリアスなのは続編を意識してか?
カメラワークや美術は素晴らしい。
謎解きより雰囲気を楽しむ作品。
オリヴィア・サールビーの変幻自在を楽しむべき。
オススメ。
格闘シーンが凄いと話題のアクション映画「シャドーオブナイト」 [映画鑑賞]
話題のアクション映画『シャドーオブナイト』はハリウッドでもなく香港でも韓国でもなく、中国でもない。
映画「シャドーオブナイト」は2018年公開のインドネシア映画。
上映時間は121分。
アクション映画にしては、長いのでは?と警戒のあなた、杞憂です。
最後まで飽きずに見れる映画。
この映画「シャドーオブナイト」はNetflix (ネットフリックス) の配信。
日本では劇場未公開。
原題は「The Night Comes For Us」
(アクション映画らしくないタイトル。”私たちに夜が来る”。反語で”朝は必ずやってくる”かな)
監督・脚本はティモ・ジャヤント。
ティモ・ジャヤントはインドネシアの映画監督。
映画「シャドーオブナイト」の出演者を紹介します。
主人公のイトウ役に元インドネシア柔道代表のジョー・タスリム。
(2013年の映画「ワイルド・スピードEURO MISSION」や後述のアクション佳作映画「ザ・レイド」にも出演)
イトウの友人のアリアンにイコ・ウワイス。
(イコ・ウワイスは2011年の映画「ザ・レイド」でアクション映画ファンにその名を刻み込んだ俳優。おかげで”シラット”という武術も日本に知れ渡った)
映画「シャドーオブナイト」のあらすじ。
イトウは仲間を守るためにトライアッドに入る。
トライアッドとはアジアを中心に麻薬・人身売買・武器密輸などを行っている秘密組織。
トライアッドには6人の幹部たちが存在しており、それぞれが密輸ルートを守っていて「6つの大海」と呼ばれていた。
その日も、トライアッドは見せしめのために村人全員を虐殺するはずだったが、「6つの大海」の一人でもあるイトウはただ一人生き残った少女を殺すことが出来ず、反対に組織の人間たちに銃口を向けてしまう。
”反逆者”として、トライアッドに追われることになるイトウは、かっての仲間を頼ることにする。しかし、トライアッドはイトウの昔の友人で、トライアッドに一緒に入ったアリアンにイトウの処刑を命じる…。
冒頭の10分は、説明的すぎて、やや冗長だが、
その後のアクションは”映画史に語り継がれる出来”と言っても過言ではない。
精肉店の倉庫でのイトウと精肉業の裏で麻薬の売買などに手を染めている悪党達との格闘シーンはナタや銃や肉の塊を使った豪快なアクションになっている。
(コレだけ密度が高くて、緻密なカットの積み重ねなら当然、クライマックスに持ってきてもいいほど)
こんなにすごいアクション・シーンを開始20分で見せられれては、”この後どうするんだろう?”という筆者の心配をよそに最後まで様々なアクションで魅せる映画に仕上がっている。
特に謎の女殺し屋がカッコイイ。
(イトウより強い!)
この謎の女殺し屋とトライアッドが差し向けるレズビアンの殺し屋コンビとの死闘も見もの。
女殺し屋が言う。
「後悔するわよ?」
トライアッドのレズビアンの殺し屋の片割れがそれに答える。
「ガキ(イトウが助けた子供)って呼んだこと?」
女殺し屋が続ける。
「白い服を着てきたこと」
謎の女殺し屋の宣言通り、トライアッドの殺し屋は白いシャツを鮮血に染め、絶命します。
(名シーン)
映画「シャドーオブナイト」の格闘シーンはジャッキー・チェンやスティーヴン・セガールのアクション映画とは全く異なります。
一言でいうと”グロい”。
頬を内側から切り裂く。
内臓がこぼれる。
足を切り裂く。
口に刃物を押し込む。
格闘シーンがすごい映画「シャドーオブナイト」は、いわゆる”ホラーテイスト満載のアクション”。
気になる点もある。
謎の女殺し屋は、いったい誰の指示で動いているのかとか、イトウは腹を撃たれているのに、たった一人で20人近くの人間をやっつけたり(まさに一人軍隊)する。
この映画「シャドーオブナイト」にはトライアッドのボスや幹部は出てこない。
(劇中では、”幹部が来る”とは度々言っているけど、画面には現れない)
また、誰と誰が「6つの大海」か不明。
組織のレズビアンの殺し屋の3位とか5位のランク付けも謎。
ラストは、かってのアメリカン・ニューシネマのように”車で敵に突っ込んでいくイトウ”のシーンで終わります。
突っ込み始めたら、キリがありませんが、この映画「シャドーオブナイト」の格闘シーンがすごいことは紛れもなく事実。
121分、最後まで集中できるアクション映画。
残酷描写が多いので、苦手な人もいるかも。
一見の価値ありの「シャドーオブナイト」。
配信映画ですが、見て欲しいアクション映画の一本。
ホラー映画『来る』はトンデモナイかも。 [映画鑑賞]
映画『来る』は2018年公開。
PG12指定。
上映時間は134分。
映画『来る』は「第22回日本ホラー大賞」で大賞に輝いた澤村伊智の小説「ぼぎわんが、来る」を映画化したホラー。
監督は「嫌われ松子の一生」(2006)「告白」(2010)「渇き。」(2014)の中島哲也。
主演は岡田准一。
メインキャストに黒木華、小松菜奈、松たか子、妻夫木聡、青木崇高石田えりらの錚々たる面々が揃える。
映画『来る』のあらすじ
恋人の香奈(黒木華)との結婚式を終え、幸せな新婚生活を送る田原秀樹(妻夫木聡)。
秀樹の会社に謎の来訪者が現れ、取り次いだ後輩、高梨(仲野太賀)に「知紗さんの件で」との伝言を残して去る。
知紗とは妊娠した香奈が名づけたばかりの娘の名前だった。
奇妙な来訪者が名前を知っていたことに言い知れぬ不安を感じる秀樹。
その予感は当たり、取り次いだ高梨が謎の死を遂げる。それから2年、秀樹の家族の周りで不可解な出来事が次々と起こる。
秀樹は高校時代の友人で民俗学の研究をしている津田(青木崇高)に助けを求める。
津田は秀樹にヤクザから心霊まで扱うフリールポライターの野崎(岡田准一)を紹介。
秀樹は強い霊感を持つキャバ嬢の比嘉真琴(小松菜奈)に会うことになる。
真琴は訪れた秀樹の家で”得体の知れぬ強大な力”を感じ、戦慄する。
真琴の力では”それ”に対抗するのは無理だと感じた姉の琴子(松たか子)が”それ“退治に乗り出すことになる。
琴子は日本最強の霊媒師で警察幹部をも、一目置く存在だった。
琴子は逢坂セツ子(柴田理恵)ら全国から力のある霊能力者を招集。
琴子と”それ”との戦いが始まる。
しかし、それとともに秀樹たち家族の”秘密”も解き明かされてゆく…。
ワクワクするトンデモナイ感じあるでしょ?
ここからネタばれあり。
では、
この映画のどこがトンデモナイか?
中島哲也独特の色彩美が全編を彩る圧巻のホラー映画。
(目がチカチカする)
悪魔祓いのマンション前のセットも迫力あり。
そして、
驚くことにメインキャストが次々と死んでゆくトンデモナイ展開。
役者陣の演技力もトンデモナイ。
公衆トイレで倒れる黒木華のラスト・カット。
(ホラー映画の”画”の構図の美しさと役者魂!)
岡田准一がやさぐれライターを上手く演じている。
(永遠のゼロ(2013)よりこちらの方が筆者は好み)
中でも、映画『来る』で特筆すべきは小松菜奈だろう。
容姿から言葉遣いから現在公開中の映画「糸」とは真逆のキャラクターを見事に体現している。
登場のファースト・シーンだけでも見るべき。
(ハッとすること間違いなし)
松たか子も最強霊媒師琴子を楽しそうに演じている。
(さすがは中島哲也チルドレン。「告白」も見事だったが、映画『来る』での
病院のベンチでの足を大きく開いた座り方なんて最高。役者は見るべき)
妻夫木聡のダメ男ぶりもいい。
(イクメンパパと家族の幸せさの表と裏は見る者によっては身につまされるだろう。SNSへの強烈な皮肉)
映画では、それが勝ったのか真琴が勝ったのか?
観客に判断が任されるカタチで終わる。
(投げっぱなし)
来る”それ”の正体も完全には明かされない。
(原作のタイトルの「ぼぎわん」はオリジナルのお化け。
作中では三重県に伝わる妖怪で室町時代に宣教師によって「ブギーマン」と名付けられらたのは、日本人の発音で「ぼぎわん」と呼ばれるようになったらしい)
脚本は監督の中島哲也と劇団「ハイバイ」の岩井秀人らが1年以上かけて執筆。
(青木崇高演じる津田の二面性が暴かれるシーンとか秀逸)
134分はあっという間。
劇場で見るべき作品だが、家でもその迫力は伝わる。
色々な意味でトンデモナイ映画。
オススメ。
ちょっとだけ惜しい映画「アンロック陰謀のコード」 [映画鑑賞]
「アンロック陰謀のコード」はちょっとだけ惜しい映画だと思う。
(注・ネタばれあり)
「アンロック陰謀のコード」は2017年のイギリス・アメリカ合衆国のアクション・スリラー映画。
上映時間は98分。
原題は”Unlocked”「完落ち」の意味。
「完落ち」とは、容疑者が完全にすべてを自供すること。全面的自白のこと。
監督は映画「007 ワールド・イズ・ノット・イナフ 」(1999)や映画「エニグマ 」(2001)などサスペンスやアクションに定評のあるマイケル・アプテッド。
「アンロック陰謀のコード」のあらすじを、まずは導入部だけ紹介する。
CIAの凄腕尋問官だったアリス・ラシーンはある容疑者を尋問で完落ち(アンロック)させられず、パリでのテロ事件止められなかったことにショックを受けて引退、ロンドンでケースワーカーとして働いていた。
ある日、アリスはバイオ・テロ計画の容疑者を尋問するためとして、CIAに呼び戻される。
アリスは巧みな尋問術で容疑者を追い込むが、昔の同僚からの連絡でそれが罠であることを知らされる…。
アリス・ラシーン役には ベストセラーサスペンスの映画化、「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(2009)ではヒロインのリスベット・サランデルを演じたノオミ・ラパス。
(同一人物とは思えないくらい。素晴らしい女優)
アリスを助ける謎の元海兵隊員ジャック・オルコット に オーランド・ブルーム。
(ご存じ、壮大なファンタジー映画「ロード・オブ・ザ・リング」(2001)や映画「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」(2003)などの大ヒットシリーズで有名な俳優)
イギリス情報部MI5のエミリー・ノウルズ にはM・ナイト・シャマラン監督の映画「シックス・センス」(1999)でアカデミー助演女優賞にノミネートされたトニ・コレット。
CIAの欧州部門責任者ボブ・ハンター にはジョン・マルコヴィッチ。
(1999年ニューヨーク映画批評家協会賞助演男優賞の映画「マルコビッチの穴」をはじめ、数々の映画に出演する名優)
アリスのかってのCIAの上司エリック・ラッシュ にマイケル・ダグラス。
(1987年に「ウォール街」でアカデミー主演男優賞を受賞、数々の大ヒット映画に主演)
ここまでは期待しかない。
ここからネタばれあり。
しかし、開始32分でマイケル・ダグラスが敵にあっけなく射殺される。
明らかにミスキャスト。
マイケル・ダグラスが三分の一で見せ場もなしに退場。
エージェントがこんな依頼に首を縦に振るわけがない。
マイケル・ダグラスがそんな仕事を快諾するとは思えない。
何かあると思うじゃない?
二転三転してゆくストーリー。
確信が深まる。
ラスト。
やはり、”黒幕はマイケル・ダグラスだった”というまさに完オチ。
(死んだように見せかけただけ)
ジャック役オーランド・ブルームの扱いも気になる。
怪しいコソ泥ジャックに窮地を救ってもらって、すぐに行動を共にするアリス。
(男前で腕が立つなら信じるかな)
アリスがケース・ワーカーで知り合った家族持ちの気のいいタクシー運転手を巻き込み、死なせてしまうところは後味悪いし。
(それに対するアリスの感情の動きは描かれず。ドライ過ぎる)
惜しい。
実に惜しい映画。
アリス役ノオミ・ラパスのアクションもいい。
(罠にかかって部屋を脱出する時のガン・アクションは緊迫感あり)
ジョン・マルコヴィッチが楽しそうに演じているのもいい。
(役者にとって、”アメリカ的なステレオタイプの絶対的上司の演技”は参考になるはず。ふんぞり返って、後ろにいる部下たちに同意を求める時の振り返り方とか)
イギリス情報部のエミリー・ノウルズ役トニ・コレットもクールでカッコいい。
場面展開も早い。
正直、面白い。
実に残念な映画。
お盆に見て欲しい映画の1本。実は拾い物のサスペンス映画「サウンド・オブ・サイレンス」 [映画鑑賞]
「サウンド・オブ・サイレンス」はアンドリュー・クラヴァンの小説『秘密の友人』を原作とする2001年のアメリカ映画。
原題:はDon't Say A Word
日本語に直すと”言葉にしないで”という感じ。
これがまあまあ、良く出来たサスペンス映画なんです。
上映時間は114分。
監督はダンスティン・ホフマンとジーン・ハックマン主演の佳作法廷サスペンス「ニューオリンズトライアル」(2003)のゲイリー・フレダー。
(作品は多くないけど駄作のない監督のひとり)
では、映画「サウンド・オブ・サイレンス」のあらすじを導入部だけご紹介します。
精神科医のネイサンは、ニューヨークで妻のアギーと娘のジェシーと三人暮らし。
感謝祭の前日、ネイサンはかっての同僚から一言も喋らず10年もの間、閉鎖病棟に収容されていた緊張型分裂症の患者エリザベスの担当を任される。
翌日、愛娘のジェシーが誘拐され、犯人グループのリーダーであるコスターから「エリザベスから午後5時までに6桁の数字を聞き出せ」と電話が。
ネイサンが警察に通報しようとすると、コスターから再び連絡があり、警察に知らせれば娘を殺すと脅される。
どうやら、犯人達はネイサンを監視しているようだ。
エリザベスの父親は10年前に仲間と銀行から1000万ドル相当のダイヤを盗んでいたが、その後、すぐに殺されていた。
ネイサンは娘を助けようと、必死にエリザベスからその謎の数字を訊き出そうとする。
同じ頃、水死体で発見された若い女性の捜査をする女刑事キャシディは10年前のダイヤ強盗事件が関与していることに気づく…。
ネイサンには「危険な情事」(1987)「ウォール街」(1987)「ブラック・レイン」(1989)など数々の作品で主演を務めるマイケル・ダグラス。
(この人の芝居は安心して見れる)
犯人グループのリーダー、コスターに2014年にアメリカのサイトが発表した「よく死ぬ映画俳優トップ10」で1位に選ばれた「ロード・オブ・ザ・リング」(2001)のボロニア役で有名なショーン・ビーン。
(悪役ぶりは最高。この映画が成功している一因。ホントにいい俳優だよね)
エリザベス役にはアンジェリーナ・ジョリーを世に送り出すきっかけになったウィノナ・ライダー主演の青春映画の傑作「17歳のカルテ」(1999)のブリタニー・マーフィ。
(演技力には定評あり。見事!)
女刑事キャシディに2006年12月、俳優のブラッドリー・クーパーと結婚するが4ヶ月で離婚して、世間をあっと言わせたジェニファー・エスポジート。
(ニューヨークの市庁舎を主な舞台としたABCテレビのコメディ・ドラマ「スピンシティ」(1997~)でブレイク)
ネイサンの妻アギーに映画「007 ゴールデンアイ」(1995)で暗殺者ゼニア・オナトップを演じて注目されたファムケ・ヤンセン。
(スキーで左足を骨折して、身動きができない役。美人はベッドに横になっているだけで絵になる。もちろん、最後に見せ場あります)
ネイサンの娘役ジェシーにサム・ライミ製作ホラー映画「ブギーマン」(2005)のスカイ・マッコール・バートシアク。
(頭の良い8歳児の役。はまり役)
精神病院の警備員役に若き日のランス・レディック。
(2015年から6シーズン続くアマゾンプライムビデオの良作刑事ドラマ「Bosch/ボッシュ」ではチーフ役を好演)
刑事が単独で行動することに目をつぶれば、この作品はかなり面白く見れます。
ラストもいい。
何よりも、この映画を見るべきなのは、二人の若い女性の死のためでもある。
エリザベス役のブリタニー・マーフィは32歳の若さで心不全でこの世を去り(主演のスリラー2本とロマンティック・コメディ1本が決まっていた矢先)
ネイサンの娘役ジェシーのスカイ・マッコール・バートシアクはてんかん発作で21歳で急死した。
(プロデュサー業などに興味を示していたらしい)
才能ある女性の死は残念過ぎる。だから、多くの人に記憶にとどめて欲しいと思う。
ブリタニー・マーフィとスカイ・マッコール・バートシアクのご冥福を祈って。
ここから報告。
7月23~25日まで開催された第1回メルシアーク神楽坂演劇フェスタは無事終了。
手前味噌ですが、私が作・演出「プリン食べたの誰?」グランプリは逃しましたが、3位入賞しました。
45分ほどの作品です。
無料で見れます。
お時間あればご覧ください。
(一部照明の関係で見にくいところあり)
こちらがURLです。