変化球ミステリー映画「探偵クレア 白蘭の女」 [映画鑑賞]
「探偵クレア 白蘭の女」は2017年のアメリカ映画。
上映時間は82分。
この「探偵クレア 白蘭の女」は”一風変わった探偵物”に仕上がっていて、”ブライアン・デ・パルマ監督好き”なら強く勧める作品。
監督・脚本はスティーヴ・アンダーソン。
世界一有名な放送禁止用語“FUCK”を徹底研究し、アメリカにおける“言論の自由”に迫る2007年のドキュメンタリー映画「FUCK」の監督。
主演のクレアには東野圭吾の小説「秘密」のフランス版リメイク映画の「秘密 THE SECRET」(2007)、シルヴェスター・スタローン主演SF映画「ジャッジ・ドレッド」(1995)のリメイク2012年版でヒロインを演じたオリヴィア・サールビー。
(2012年、雑誌『Complex』で「ニューヨークで最も魅力的な50名の独身女性」第9位に選ばれている)
クレアに仕事の依頼をするビビアンに1983年のヒット映画「フラッシュダンス」のジェニファー・ビールス。
クレアを見守る保安官役にジョン・キャロル・リンチ。
ジョン・キャロル・リンチはファーゴ(1996)、グラントリノ(2008)、シャッターアイランド(2010)などたくさんの映画に出演している銀幕の名脇役。
映画「探偵クレア 白蘭の女」のあらすじ
フリーの女探偵クレアはアメリカのカルフォルニア州サンルイスオビスで発生した“白蘭事件”の調査を郡の担当官ビビアンに依頼される。
被害者は女性で頭部や両腕の切断という無残な姿で発見された。
身元不明のその女性は事件の3カ月前、高級住宅の一軒家を借りたまま行方不明になった美しい女性“白蘭”らしい。
(屋敷の外から見えるところに見事な白蘭を飾り、たくさんの男性が入れ代わり立ち代わり家に出入りしていた)
しかし、身分証明書や写真は偽物で、彼女は何者なのか、誰に殺されたのか、何一つ分からぬまま迷宮入りとなっていた事件だった。
クレアは地元警察の保安官が「調べつくしたがないにもない」という被害女性の豪邸から調査を開始する。
高級な下着に様々なウィック、香水、大人の玩具などを目にしたクレアは、やがて屋敷から警察が見つけられなかった大金と謎の鍵を見つけ出すが…
ここから一部ネタばれあり。
クレアは屋敷で被害者の下着を身につけて、口紅を塗りウィッグをつける。
クレアは被害者の意識をなぞる、追跡する、遡る、
いわゆる”トレース”で調査をしてゆく。
普段は眼鏡をかけ、野暮ったいクレアが化粧をして変わってゆくシーンは息を飲む。
(クレアが段々、美しく、コケティッシュに変化してゆく様はまさに蛹から孵った蝶のよう。オリヴィア・サールビーの女優としての高いポテンシャルを感じる)
コンサートでの人物描写やホテルのバーでのシーンはデビッド・リンチを意識しているよう。
この映画、ミステリアスさは保証する。
クレアを信頼するビビアン役ジェニファー・ビールスもいい。
2008年から続くリーアム・ニーソン主演映画「96時間」の前日譚、若き日のブライアン・ミルズを描くスパイアクションドラマ「96時間ザ・シリーズ」でも秘密機関ODNI(アメリカ合衆国国家情報長官官房)のブライアンの上司役を熱演していた。
(残念ながら、2シーズンで打ち切り。アクションは良いけど、お話は単調)
アクションも出来て、演技も悪くない。美貌の衰えもないので、ジェニファー・ビールスはこれからも注目。
そして、ジョン・キャロル・リンチが登場すると画面が締まる。
(いい役者は画の収まりが良く、存在感がある。持って生まれたものか経験なのか?)
原作はサラ・グランの私立探偵クレア・デウィット・シリーズ。
探偵は壊れた街で 私立探偵クレア・デウィット・シリーズ (創元推理文庫)
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2015/06/22
- メディア: Kindle版
映画の終わり方がややミステリアスなのは続編を意識してか?
カメラワークや美術は素晴らしい。
謎解きより雰囲気を楽しむ作品。
オリヴィア・サールビーの変幻自在を楽しむべき。
オススメ。
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